お客様との話。。。
先日床屋さんに不具合で伺った時の話です。
事の始まり・・・
既存店舗の床からの湿気対策のために防湿シートを貼りコンクリートを増し打ちした結果5cm床が上がる結果になりました。しかし入口のドアは取り替えない為に入口+待合スペースは既存のままにした結果,店舗内で段差が生じる事になったのです。住宅でも解ると思いますが5cmの段差は転ぶ危険性がある為,今回お客さんの要望で段差部分をスロープ形状にしました。しかし設計打ち合わせの時私はある危険性を感じてスロープ部分に少し目立つ床見切りを入れることを提案したんです・・・しかし段差が逆に解らないようにしたいという要望から目立たないようにしました。(待合スペースの機能を損なわない様に最大限スロープは緩やかにしましたが・・・)
一本の電話・・・
去年床屋さんから一本の電話が・・・『スロープでお客さんが躓くんです。なんとかして欲しい』・・・そんな電話でした。そして年明けに話がしたいとお客さんの要望があり先日伺う事になりました。
打ち合わせ・・・
この問題については当初から気になっていて工事中もお客さんと話をしていました。実は問題が発生した時の対処方法(転ばない為の方法)を考えてあったものの私はこの説明の難しさに正月も少し悩んでいました。。。そしてそのままお客様のお店に入りました・・・
私が店に入った時に一人のお客様がいらっしゃいました。そのお客様が帰るとき床屋のマスターが
『足元お気をつけ下さい』
と一言言われたのです。これ実は私が言いたかった事だったのです。。。そして打ち合わせが始まりました。
マスターから『どうしたら良いと思いますか?』と質問が・・・私は『目立たなくしたのが問題の始まりです』と話を始めました。そして目立たせる方法を幾つか提案しました。
人間には“目・鼻・耳・口”といった感覚機能から周りの情報を得る。段差を目立たなくした結果,このスロープで目に対し段差があるという情報を与えにくくしてしまった。情報を与えやすくする為に床や段差の近くに目印を置くことを提案しました。。。そして新規のお客様は躓かないのに常連のお客様が躓くのは以前のお店には段差がなかったのも一つの要因だと思い常連様に段差があることを覚えて頂くのが大切と話し合いました。そこでマスターが・・・
『“段差に気をつけて下さい”と言うようになってから誰も躓かなくなったよ。一言言えば解決するんじゃないかなと思う』
ここで私が言いたかった事を言ってくれました。先ほどの感覚機能に戻りますが情報を得る機能として耳もあるのです。お客様の耳で段差がある事の情報を得るにはマスターが口で伝えることも一つの方法だと思っていました。それに床屋さんは客商売です。簡単な一言が言えなくては商売にはならないのではと。。。しかしマスターはこの事に気がついていました。そして言われたんです・・・『今日の打ち合わせは意味がないと思っていました。でも打合せを断わる事もないなぁって思って・・・』そしてその後お店の評判が良い事を褒めてくれたんです。。。あのガラスブロックが本当に良いと・・・(自慢話?
今回の反省・・・
今回の不具合は設計段階で発生していました。打ち合わせ時の優先順位から発生した問題です。建物は安全でなければならない。本来は声という情報からではなく自然に安全を得ていかなくてはならないはず。。。結果としてお客さんの職業が不具合の解決となりました。しかし私自身もっと前にお客さんと話すべき事だったと・・・反省しました。
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